「上を下へのジレッタ」感想

2017.6.3 18:30~ / 6.4 13:30~ 上を下へのジレッタ Bunkamuraシアターコクーン

 

マンガはアニメという2次元のもの=映像にするのが表現としては近しいのかなと思ってたけど、それを舞台という三次元のものとして表現するにあたって、セットや演出のひとつひとつにマンガっぽさやアニメーションっぽさがあって、手塚治虫さんのマンガ原作のそのものズバリが三次元化されていて、演出家の人すげえ・・・倉持さんすげえ・・・ってひたすら圧倒され続けた。あと、相方(横山担)が初日後に「原作を知らなくても大丈夫。音楽がすべてを解決してくれる」って言っててなにその名言・・・?って感じだったけど、まさにそのとおりだった。物語をすすめつつ時に繊細に、時におそろしいもののように奏でられる歌が、ファンタジー的な世界観に迫真のリアルをぶっ刺していくのがとてもよかった・・・。

 

舞台を観て、原作も読んで、門前さん、ほんとはメンタル弱いんだろうなって思った。でも、惚れた女や自分が商売道具にしようとしている人間の前でそんな自分を見せるわけにはいかない。門前市郎が自称天才ディレクターとして存在することがそもそも虚構=ジレッタで、自分は非凡な天才だ、きっともっとすごいことができるはず・・・という、自らが生み出した妄想にとりつかれて、山辺のつくり出した最後のジレッタに、月と一緒に取り込まれちゃったんじゃないかしら・・・なんてロマンチックなことを思ったりして。そして、これはたいへんな偏見だけど、虚構をまとって舞台に立つ門前さんの姿が「横山裕」と重なって、横山担の人にとって門前さんはいじらしくて愛おしい、愛さずにはいられない存在だったんじゃないかな・・・なんて、そんな勝手なことを想像したりもした。いやはや、全力で余計なお世話だって感じですね・・・。

 

すべてが虚構のジレッタの中で、オンちゃんとキミちゃんの恋だけはいつもリアルだった。純粋でまっすぐなふたりの恋。オンちゃんが最後につくり出した永遠のジレッタの中で、オンちゃんとキミちゃんが永遠のふたりになれてよかった。そんなことを思いながら聞く黄昏のフィナーレ、むちゃくちゃ泣いた。なんて美しい愛なんだろう。きっとふたりで幸せになってね。これからふたりが住むのはオンちゃんの思いのままの世界だから、きっと幸せになれるよね。ほんとにかわいくて愛おしいふたりだった・・・。

 

わたしは東京公演の前楽と楽に入らせてもらったけど、その2公演だけでも横ちゃんの歌は2公演目のほうがよくなってて、ただただすごいなぁと・・・いやほんと、これやってメトロック出たのほんとすごいよ・・・さすがはストイックの星に生まれついたスーパーゼウス様・・・。

 

そのほかのメモ
・1曲目から汗がすごい
・ゲネほどアイラインが見えなかった
・キューティクルがすごい
・汗が滴ってタートルネックとコートに染みてた
・「オレの女に手を出すな」
・「オレのそばにいろ」
・「オレは女の嫉妬に付き合っているヒマはない」

 

以上です。おもしろかった!インストでいいからサントラほしい!