それでも恋は、恋

「今は」バンドがやりたいと言ったすばるくんの、音楽をやるという夢が実現してしまったら、もう引き返せなくなるような気がした。もう後には戻れない。未定が残したきっかけは思いもよらない方向に進んで、すばるくんのハートに火をつけて、綺麗な約束を残したまま。きっと未定が「弐」を刻むことはないんだろうなと、八祭のインタビューを読んで思った。すばるくんが未定の、村上さんのもとに戻ってくることはもう二度とない。どこかでそう思っているのは、わたしだけではないと思う。だけど不思議と、それが悲しいわけではない。未定はあの時のふたりが作ったものとして、ただそれだけであればいい。続きがないであろうことも、すばるくんにその気がないであろうことも、特別悲しいことはない。ただ、今ではもう未定ことを考えて、というわけではないにしろ、あれから毎年続けているイフオアのことを、すばるくんが「今は」その気もないのに、あるとして、何十年も先の、気の遠くなるくらい先の未来を期待して、「ふたりの場所を守り続けてくれている」というのは、輝くように無邪気で、真綿で首をしめるように残酷なことだなぁと思う。

変な意味でなく、村上さんは、すばるくんに恋をしている。すばるくんのことを否定できないし、嫌われるようなこともできない。妬みや嫉みを感じる前に、いつも愛おしく思ってしまう。

グループにいたい村上さんを、横山さんとすばるくんはゆるしてくれないかもしれない。
その厳しさが村上さんの背中を押すこともあると、それが愛だと、そう思える時が少しでも長く続きますように。